なんだか体が重い、だるい… その原因は体の硬さかも? 肩甲骨と股関節をゆるめる簡単おうち運動
運動不足が続くと、なんだか体が重く感じたり、全身がだるく感じたりすることがあります。これらの不調は、実は体の「硬さ」が原因の一つになっている可能性も考えられます。特に長時間座っていることが多いデスクワークの方などは、特定の関節が固まりやすくなっています。
体の硬さが引き起こす様々な不調
私たちは普段の生活の中で、あまり体を大きく動かす機会がないと、関節の動きが悪くなったり、筋肉が縮こまってしまったりします。これが体の「硬さ」です。体の硬さは、単に開脚ができないといった柔軟性の問題だけでなく、様々な不調につながることがあります。
例えば、肩や首が凝りやすくなったり、腰が痛くなったり、姿勢が悪くなったりといったことは、多くの方が経験されているかもしれません。また、体の動きが悪くなると血行が悪くなり、体が冷えやすくなったり、疲れが取れにくくなったりすることもあります。
特に、日常生活であまり動かさない「肩甲骨」と「股関節」は、体の中心に近い大きな関節であり、ここが硬くなると全身の動きに影響が出やすいと言われています。
なぜ肩甲骨と股関節が大切なのでしょうか
肩甲骨は、背中の上部にある大きな骨で、腕の動きと深く関わっています。デスクワークで猫背になったり、パソコン作業で腕を前に固定したりする時間が長いと、肩甲骨の周りの筋肉が緊張し、動きが悪くなります。肩甲骨の動きが悪くなると、肩こりや首こりの原因になるだけでなく、呼吸が浅くなったり、姿勢が悪くなったりすることもあります。
股関節は、骨盤と太ももの骨をつなぐ、体の中でも特に大きな関節です。座っている時間が長かったり、歩くことが少なかったりすると、股関節周りの筋肉が硬くなり、動きが悪くなります。股関節の動きが悪くなると、腰痛や膝痛の原因になるだけでなく、足のむくみや冷え、お尻のたるみ、歩き方の変化など、様々な影響が出ます。
肩甲骨と股関節を柔らかく保つことは、全身の血行促進や代謝アップにもつながり、体の不調を改善したり、疲れにくい体を作ったりすることに役立ちます。
自宅で簡単 肩甲骨&股関節をゆるめるエクササイズ
特別な器具は必要ありません。自宅で、自分のペースで無理なく行える簡単なエクササイズをご紹介します。
1. 肩甲骨をゆるめるエクササイズ:腕回し
肩甲骨周りの筋肉を動かす基本的なエクササイズです。
- やり方:
- 立つか椅子に座り、姿勢をまっすぐにします。
- 息を吸いながら、両腕を体の前を通り、大きく上に上げます。
- 息を吐きながら、両腕を体の横を通ってゆっくりと下ろします。肩甲骨を背骨に引き寄せるように意識します。
- この動きをゆっくりと5回繰り返します。
- 次に、息を吸いながら、両腕を体の横から大きく上に上げます。
- 息を吐きながら、両腕を体の前を通ってゆっくりと下ろします。この時も肩甲骨の動きを意識します。
- この動きもゆっくりと5回繰り返します。
- ポイント: 腕を回すだけでなく、肩甲骨が背骨から離れたり(腕を上げる時)、背骨に近づいたり(腕を下ろす時)する動きを意識することが大切です。
- 注意点: 痛みを感じる場合は無理せず、動かせる範囲で行います。肩をすくめすぎないように注意します。
- 効果: 肩こりや首こりの緩和、姿勢の改善、背中の血行促進が期待できます。
2. 股関節をゆるめるエクササイズ:膝抱え(寝ながら)
寝たままできる、股関節周りの筋肉を伸ばすエクササイズです。
- やり方:
- 仰向けに寝て、両膝を立てます。
- 片方の膝を両手で抱え込み、息を吐きながらゆっくりと胸に引き寄せます。
- 太ももの付け根やお尻の辺りが伸びているのを感じながら、20秒ほどキープします。
- 息を吸いながらゆっくりと膝を戻します。
- 反対側の足も同様に行います。
- 左右交互に2〜3セット繰り返します。
- ポイント: 膝を胸に引き寄せるときに、腰が反りすぎないように注意します。股関節の付け根の伸びを意識します。
- 注意点: 痛みを感じるまで強く引き寄せないようにします。腰に不安がある方は、片足ずつ行うか、無理のない範囲で行います。
- 効果: 股関節周りの筋肉のストレッチ、腰痛の緩和、足の疲労回復が期待できます。
3. 肩甲骨&股関節をまとめてゆるめるエクササイズ:キャット&カウ(四つん這い)
背骨と連動して肩甲骨と股関節を動かす、ヨガの代表的なポーズです。
- やり方:
- 四つん這いになります。手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
- 息を吐きながら、背中を丸め、お腹を覗き込むようにします。視線はおへそへ。肩甲骨を広げ、お尻も丸めます(キャットのポーズ)。
- 息を吸いながら、ゆっくりと背中を反らせ、顔を正面または少し上へ向けます。お腹を軽く伸ばし、お尻を突き出すようにします。肩甲骨を寄せるように意識します(カウのポーズ)。
- 呼吸に合わせて、この2つの動きをゆっくりと5〜10回繰り返します。
- ポイント: 背骨全体を滑らかに動かすことを意識します。肩甲骨の開き閉じ、股関節の動き(お尻の丸め・突き出し)も連動させて行います。
- 注意点: 痛みを感じる場合は、動きの幅を小さくします。手首に負担がかかる場合は、手の位置を調整するか、肘をついて行います。
- 効果: 背骨の柔軟性向上、肩甲骨と股関節の連動性の改善、姿勢改善、リラックス効果が期待できます。
続けるためのヒント
新しい運動を習慣にするのは、忙しい毎日の中ではなかなか大変に感じるかもしれません。でも大丈夫です。完璧を目指さず、ご自身のペースで取り組むことが大切です。
- まずは「ちょい足し」から: 一度に全てのエクササイズをする必要はありません。例えば、「朝起きたら腕回しを5回」「寝る前に膝抱えを左右1セット」のように、今の習慣に少しずつ「ちょい足し」することから始めてみましょう。
- 「ながら」時間を活用: テレビを見ている時間や、休憩時間などに、座ったままできる腕回しや、寝る前にベッドの上で膝抱えをするなど、「ながら」でできるものから取り入れてみましょう。
- ハードルを低く設定: 「毎日必ずやる」と決めると、できなかった時に落ち込んでしまうこともあります。「週に2〜3回できたら良いな」くらいに考えたり、「とりあえず四つん這いになってみる」と、最初の一歩のハードルを低く設定したりするのも効果的です。
- 体の変化に意識を向ける: 続けるうちに、「あれ?前より体が軽く感じるかも」「肩が少し楽になった気がする」といった小さな変化に気づくことがあるかもしれません。その変化を意識することが、モチベーションの維持につながります。
まとめ
体の重さやだるさといった漠然とした不調は、運動不足による体の硬さが原因の一つかもしれません。特にデスクワークなどで固まりやすい肩甲骨と股関節を意識して動かすことは、全身の巡りを良くし、様々な不調の改善につながります。
今回ご紹介したエクササイズは、どれも自宅で簡単に、短時間でできるものばかりです。まずは一つからでも、ご自身のペースで試してみていただければ幸いです。体の硬さを少しずつゆるめて、軽やかな体を取り戻しましょう。